Docker の Apache + MySQL 環境で CakePHP 4 を動かす / Twin Turbo Computing

はじめに

これまで Docker を用いた CakePHP 4 の動作環境構築について、
Apache、Nginx、MySQL、PostgreSQL の組み合わせで３つご紹介してきました。

今日はその最後の組み合わせで、これが最も一般的かとも思うのですが
Docker で構築した Apache + MySQL 環境で CakePHP 4 を動かす方法をご紹介します。

今回は MySQL 8.0 を使用していますが MySQL 5.7 や MariaDB を使う方法もご説明します。

Docker: 19.03.1

Docker Compose: 1.24.1

CakePHP: 4.1.4

Apache: 2.4.38

PHP: 7.4.9

MySQL: 8.0.21

目次

下準備
docker-compose.yml 作成
Dockerfile 作成＆ビルド
CakePHP 4 インストール
おわりに

1. 下準備

今回のファイル構成です。

/path/to/your-dir/
  ├ docker/
  │  ├ initdb/
  │  │  └ articles.sql
  │  │
  │  ├ myapp-web/
  │  │  └ Dockerfile
  │  │
  │  └ docker-compose.yml
  │
  └ html/

/docker/initdb/articles.sql は articles テーブルを作る SQL で、MySQL のコンテナで自動的にインポートされます。

/docker/initdb/articles.sql

SET CHARACTER_SET_CLIENT = utf8mb4;
SET CHARACTER_SET_CONNECTION = utf8mb4;

CREATE TABLE articles (
  id int(10) UNSIGNED NOT NULL AUTO_INCREMENT,
  title varchar(255) NOT NULL,
  body text NOT NULL,
  PRIMARY KEY (id)
) ENGINE=InnoDB DEFAULT CHARSET=utf8mb4;

INSERT INTO articles (id, title, body)
VALUES (NULL, 'テスト1', 'テスト\r\nテスト\r\nテスト');

/docker/myapp-web/Dockerfile は Web サーバコンテナに PHP 拡張や Composer などをインストールする処理を書きます。内容は後ほどご紹介します。

/html は Web サーバのコンテナにマウントします。コンテナ上でそこに CakePHP 4 をインストールして、ローカルでも編集できるようにします。
この /html フォルダは事前に作っておいてください。

2. docker-compose.yml 作成

今回作った docker-compose.yml は以下の通りです。

/docker/docker-compose.yml

version: "3"

services:
  # PHP-Apache
  myapp-web:
    container_name: myapp-web
    # ./myapp-web/Dockerfile でイメージをビルド
    build:
      context: ./myapp-web
      dockerfile: Dockerfile
    # myapp-db 起動後に myapp-web を起動
    depends_on:
      - myapp-db
    # 80 番ポートを割り当て
    ports:
      - "80:80"
    # ローカル の html フォルダを
    # コンテナの /var/www/html にマウント
    volumes:
      - "../html:/var/www/html"

  # MySQL
  myapp-db:
    container_name: myapp-db
    image: mysql:8.0
    volumes:
      - "./initdb:/docker-entrypoint-initdb.d"
    environment:
      MYSQL_DATABASE: sampledb
      MYSQL_USER: sample-user
      MYSQL_PASSWORD: hi2mi4i6
      MYSQL_ROOT_PASSWORD: mu7ya9to

  # phpMyAdmin
  myapp-pma:
    container_name: myapp-pma
    image: phpmyadmin/phpmyadmin:5.0
    depends_on:
      - myapp-db
    ports:
      - "8080:80"
    environment:
      PMA_HOST: myapp-db
      PMA_USER: root
      PMA_PASSWORD: mu7ya9to

Docker toolbox on windows の場合は volumes でマウントするために、VirtualBox の共有フォルダ設定で /path/to/your-dir/html と initdb を追加する必要があります。

設定方法は「docker toolbox windows volumes 共有」などで検索すると、みつかると思います。

MySQL 5.7 や MariaDB を使いたい場合は image: mysql:8.0 の箇所を
image: mysql:5.7 や image: mariadb:10.5 などにしてください。

イメージ名は、下記 Docker Hub ページの「Tags」メニューで検索できます。

mysql - Docker Hub: https://hub.docker.com/_/mysql
mariadb - Docker Hub: https://hub.docker.com/_/mariadb
phpmyadmin - Docker Hub: https://hub.docker.com/_/phpmyadmin
Compose file version 3 reference | Docker Documentation: https://docs.docker.com/compose/compose-file/

3. Dockerfile 作成＆ビルド

Webサーバとする myapp-web コンテナ用に、PHP 拡張や Composer などをインストールしたイメージを作るために、下記 Dockerfile を用意します。

/docker/myapp-web

FROM php:7.4-apache

# Composer のバージョン と ハッシュ値
ARG composer_ver=1.10.13
ARG composer_hash=5ca7445cfd48dd27c5a84aa005a47b4d9fd91132313830609875df3a6973708f

# Composer の保存先
ARG composer_path=/usr/local/bin/composer

RUN apt-get update \
  # Composer インストール
  && php -r "copy('https://getcomposer.org/download/$composer_ver/composer.phar', '$composer_path');" \
  && chmod 755 $composer_path \
  && php -r "if (hash_file('sha256', '$composer_path') !== '$composer_hash') { \
          echo '!!! Failed to install Composer !!!'; \
          unlink('$composer_path'); \
      } \
      echo PHP_EOL;" \
  # vim （省略可）
  && apt-get install -y vim \
  # unzip コマンド (composer create-project で必要)
  && apt-get install -y unzip \
  # PHP の intl 拡張 (CakePHP 4 で必要)
  && apt-get install -y libicu-dev \
  && docker-php-ext-install intl \
  # PDO MySQL 拡張
  && docker-php-ext-install pdo_mysql \
  # mod_rewrite 有効化
  && a2enmod rewrite

ベースのイメージは、PHP の公式イメージで Apache が導入済みの php:7.4-apache を選びました。

php Tags - Docker Hub: https://hub.docker.com/_/php?tab=tags

Composer インストール箇所に関しては、前回の「Docker 公式 PHP イメージに composer を導入する Dockerfile を作る」をご覧ください。

このイメージのビルドは docker-compose コマンドでコンテナ作成と同時に行いますが、事前にビルドしておきたい場合は「3. Dockerfile で拡張モジュール導入済のイメージを作成 (Docker で PHP 7.4 と MariaDB 10.5 の LAMP + phpMyAdmin 環境を構築する方法)」を参考にして頂ければと思います。

Dockerfile を作ったら、下記コマンドでコンテナのビルドと起動をします。

既に docker_myapp-web:latest イメージがある場合は、ビルド前に削除してください。

$ cd /path/to/your-dir/docker
$ docker-compose up -d

4. CakePHP 4 インストール

下記コマンドで CakePHP 4 をインストールします。

$ docker exec -it myapp-web bash

root@123456789abc:/var/www/html# cd ../
root@123456789abc:/var/www# composer create-project --prefer-dist cakephp/app:4.* html

インストールが完了したら config/app_local.php のデータベース設定を変更します。
コンテナに vim をインストールしているのでそれを使っても良いですし、ローカル側で編集しても OK です。

/html/config/app.php

// ↓必要に応じて変更してください
'App' => [
    ...
    'defaultLocale' => env('APP_DEFAULT_LOCALE', 'ja_JP'),
    'defaultTimezone' => env('APP_DEFAULT_TIMEZONE', 'Asia/Tokyo'),

/html/config/app_local.php

'Datasources' => [
    'default' => [
        'host' => 'myapp-db', // ← 変更
        ...
        // ↓変更
        'username' => 'sample-user',
        'password' => 'hi2mi4i6',
        'database' => 'sampledb',
        ...

以上で作業は完了です。

あとはブラウザでアクセスして動作を確認してください。
(URL は http://localhost/ や http://192.168.99.100/ など Docker の環境によります)

僕は bake all コマンドを使って確認しています。

root@123456789abc:/var/www# cd html
root@123456789abc:/var/www/html# bin/cake bake all articles

phpMyAdmin は 8080 ポートでアクセス可能です。
(http://localhost:8080、http://192.168.99.100:8080、など)

5. おわりに

今回の環境構築では Composer を Dockerfile で自動インストールする形にして、より手間が少なくなるようにしました。

次の取り組みとして、本記事のように環境構築と CakePHP インストールを同時に行う場合に、そのインストールも自動化できないかなと考えています。

僕は「自動化」や「効率化」のための技術習得をついつい後回しにしていたのですが、身についてくると開発速度があがりますね。
学習コストをかける価値はあると感じています。

Docker の Apache + MySQL 環境で CakePHP 4 を動かす